小路を歩けば

マロニエの葉が色づき始めた、静かな小路。こんな日は、ふと、心のなかの「思い出箱」がふたを開けるんだ…。

ランスの小路
フランス、シャンパーニュ地方の小路。

散歩してると、忘れていた思い出がよみがえる。思いもかけないアイデアがうかぶ。そんなことって、あるよね?

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大聖堂に感じる、タイムアクシスデザイン~デザイン塾こぼれ話

アーヘン大聖堂の天井
荘厳な聖堂の天井。カール大帝が埋葬されていることから「皇帝の大聖堂」とも呼ばれている。

ドイツ、アーヘンの大聖堂を訪れた松岡教授。金を散りばめたモザイクの天井や、荘厳なガラスの礼拝堂の美しさに心を奪われたんだって。北部ヨーロッパ最古のこの聖堂、8世紀に建設が始まり、1千年以上を経て今の意匠になったそうだよ。そのため、古典主義、ビザンチン、ゲルマン様式、ドイツロマネスクなど、複数の建築様式が見受けられるんだって。社会情勢や価値観の変動に製品が適合し続ける、そして新たな価値を成長させていく…、これもタイムアクシスデザインの在り方のひとつっていえるのかもしれないね。教授はそうつぶやいてたよ。

コロニアル建築に想う

この間、ベトナム、ホーチミンを旅した松岡教授。バイクが行き交うパワフルな街には、19~20世紀のフランス統治時代に建設されたコロニアル様式の建築が数多く残っているんだって。コロニアルというのは、“植民地の”という意味だけれど、本国の建築物を基にしたデザインに現地の風土や文化が融合して、独自の美しさをもたらしているそうだよ。この様式名、植民地にした側が付けたんだろうけど、どんな気持ちで付けたのかなぁ。

ベトナムのコロニアル建築
パリのオルセー美術館をモデルにしたと言われている、サイゴン中央郵便局。

教授はコロニアル様式を観ると、いつも感じることがあるんだ。それは、代替材料として用いられてきたプラスチック製品と同じ匂い。特に、台所用品やお風呂用品のような、プラスチック製の日用品と似た匂い。それらの製品も、すでに代替材料品ではなく、独自の魅力を獲得しているからなんだ。コロニアル様式にも、プラスチック製品にも、「日常の安らぎ」を感じるんだって。そして、どこかかすかに「未来への期待」さえも感じるなぁって、教授は言ってたよ。

カンツォーネの余韻

チンクェッティジリオラ
カンツォーネの妖精、ジリオラ・チンクェッティ。

中学時代、イタリアのカンツォーネが大好きだったという松岡教授。県内にもほとんど会員がいなかった日本カンツォーネクラブにも入っていたんだって。当時、友達はみんなビートルズやローリングストーンズなどロックに夢中になってたというのに、カンツォーネって! 変わった中学生だよね~。

昨年だったか、カンツォーネの大御所が20数年ぶりに来日というので、教授はうきうきしてコンサートに行ったんだ。歌も美しさも健在で、とにかく素晴らしかった~!って大興奮してたよ。教授は「感動」にはいくつか種類があるって分析しているけれど、その対象(出来事)に出会うまでの文脈(経緯)が大きく関与している「コンテクスト型感動」って、正にこのことかもしれないね。記憶とつながると、感動って一層増すのかもしれないなぁ。

 

『プラスチックの逆襲』~デザイン塾こぼれ話

最近話題になっている、プラスチックのゴミ問題。直径5ミリ以下の微小なマイクロプラスチックが海洋生物の体内に取り込まれ、環境問題、健康問題を引き起こしているという話。そもそもプラスチックは、人間が生み出した人工材料。安価で軽量、思い通りに成形できて実用的と、日常生活のあらゆる製品に活用されてきた。そのわりに「大切」には扱われず、むしろ木材や金属の単なる代替材料として扱われ、ぞんざいに使い捨てにされてきたんだ。それが回りまわって環境汚染を引き起こすなんて、まさに『プラスチックの逆襲』っていえるかもしれないね。

でも、プラスチックには、独自の魅力があるんじゃないか。もっと評価されてもいいんじゃないかなぁって松岡教授は考える。たとえば近年、漆のようにつややかで上質な製品や、3Dプリンタによる美しい造形品が誕生してるんだって。旧来のマットなテクスチャーをもつオールドプラスチックも、ノスタルジックで素敵♡と、再評価が進んでいるみたいだよ。きっと今こそ、悪者になってしまったプラスチックの真価を再認識するときなのかもしれないね。もっと大事に使っていけたらいいなぁ。

IMG_0519プラスチックの逆襲
ラスベガスのホテル・ベラージオのロビー。